🔶貯蓄から投資へ🔶
日本において資産運用といえば、貯蓄に頼っている人が諸外国に比べて突出して多い傾向にあります。
日本の貯蓄額は、他の先進諸国と比較して突出して高いのです。
たとえば、日本で家計における預貯金と株式・投信など投資の比率は、預貯金が約53%で株式などの投資が約15%、保険・年金などで約29%です。
アメリカでは預貯金は約13%で株式・投信などの投資は約53%と日本と全く逆になっています。
ちなみに欧州では、預貯金は約34%で株式・投資などの投資で約26%となっています。
また、保険・年金は日本もアメリカも欧州も30%前後とあまり変わりありません。
では、預貯金に頼っているままで、この先大丈夫なのでしょうか。
かつては高い金利の時代もありましたが、金利は限りなくゼロの状態が続いているため、銀行の定期預金に預けておくだけでは、利息はほとんどつきません。
預金だけでは資産が増えることはありません。
それどころか物価が上昇すれば、資産が目減りし実質的にはマイナスになっていくと考えられるのです。
そこで、投資の入り口として誕生したのがNISAなのです。
人生100年時代、長い人生を生きていくため、老後を安心して過ごすためには2000万円という資金が必要になるとも言われています。
そうなると、預貯金だけでは不十分で株式や投資信託などで積極的に運用していく必要があります。
ですが、あまり投資をしてこなかった人にとっては、元本割れのリスクがある投資はハードルが高いのではないでしょうか。
NISAは、そんな投資への心理面のハードルを下げつつ、お得感を押し出しているものとなっています。
NISAは、銀行の積立のようにすべてお任せで運用することもできるので、投資に詳しくなくても安心です。
また、本来なら利益の20%を税金として納めなければならないのですが、NISAは非課税でそのまま利益を受けとることができます。
投資の経験がない初心者にも利用しやすい仕組みとなっています。
🔶NISAとつみたてNISA🔶
〈NISA〉
NISAは、投資の初心者でも比較的購入しやすい投資信託を購入する例が多いというイメージですが、投資信託だけでなく他の商品にも投資できます。
国内外の株式、国内外のETF、国内外のREIT,ETN(上場投資証券)などが購入可能で、その選択肢がかなり幅広くなっています。
また、現在NISAは年間120万円投資可能で非課税期間は5年となっています。
非課税期間終了に際しては、次の3つの選択肢の中から選ぶ必要があります。
- 期間内に売却
- 課税口座へ移管
- 終了翌年の一般NISA買付可能枠に移管(ロールオーバー)
〈つみたてNISA〉
NISAと違ってつみたてNISAの対象となる商品は、投資信託やETFなど比較的安全な金融商品のみとなっています。
また、「販売手数料がゼロ」「信託報酬が安い」「頻繁に分配金を支払わない」といった厳格な条件が設けられています。
これらの基準を満たした金融商品だけに投資されるという仕組みなので、長期的な投資によって資産形成につながると金融庁がお墨付きを与えたものといえます。
つみたてNISAの運用期間は20年となっています。
また、NISAと同じく運用益は非課税となります。
非課税期間終了に際しては、次の2つの選択肢の中から選ぶ必要があります。
- 売却
- 課税口座へ移管
※NISAのようにロールオーバーはできない。
〈2024年以降〉
一般NISAは、2023年まででしたが、2024年からは新NISAがスタートします。2028年まで延長されることとなります。
2024年以降長期的な資産形成に役立てられるよう、購入できる対象商品に関しての仕組みが大きく変更されます。
まず、基本運用として限られた低リスクの商品だけを購入できる20万円の積立枠が設定されます。これに投資をしないと自由に株式などに投資できないという2階建ての制度になるということです。
この20万円とあわせて従来と同じ自由な投資部分が102万円となり、年間の投資枠の合計は従来より2万円多い122万円となります。
非課税運用期間5年は変更ありません。
また、これに伴いつみたてNISAは2037年までの期間限定でしたが、2042年まで延長することが決定しました。
期間が延長されただけで、内容は変更ありません。
🔶iDeCo🔶
個人型確定拠出年金そのものは以前から制度として用意されていたのですが、2017年からは、これを20歳以上60歳未満であれば誰でも利用できるようになりました。
そのため、自営業者や被扶養者、企業などに勤めている労働者まで誰もが老後資金のために自由に年金を活用できる状況になりました。
iDeCoによって最終的に受けとることができる年金は、それまでに積み立ててきた掛金とそれを運用して得られた運用益の合計になります。
また、iDeCoのメリットとして税の優遇があります。
掛金が全額所得控除扱いになるのです。
所得税や住民税の税率は、毎年の所得が基準となって決められています。
この所得控除を使えば、本来課税される所得の金額自体を減らし、毎年の所得税と住民税の税額を引き下げることができます。
掛金は毎月5,000円以上で、加入者が1,000円単位で調整することができます。
少額から始められることもメリットと言えます。
ただし、iDeCoはあくまで年金ですので、60歳の時点で運用益と掛金の総額が給付されます。
途中で引き出して使うようなことはできません。
iDeCoは基本的に長期運用を目的とした制度ですので、NISAよりはより期間の長いつみたてNISAに近いといえます。
また、iDeCoは加入するときに支払う手数料と定期的な掛金はどこの会社でも変わらず一律ですが、給付金を受け取る歳の事務手数料、運用にかかる手数料、運用報酬は、金融機関と商品によって大きく変わります。
こうしたコストと予想される運用益を考慮して、契約先や商品を選ぶとよいでしょう。
iDeCoの基本は、リスクとコストを下げ確実に一定の利益を得ることです。
🔶NISA、つみたてNISAとiDeCoの活用のポイント🔶
NISA ・・・・・・・・・・・・投資信託だけでなく株など他の金融商品にも投資したい場合。
つみたてNISA ・・・・こつこつと長期で安定的に運用したい場合。
また60歳より前に使用するかもしれない資金。
iDeCo ・・・・・・・・・・老後資金(60歳まで使わない資金)
※老後の資金づくりには節税のメリッとが大きい。
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