厚生労働省の調査によると介護が必要となった主な原因は、2013年では脳血管疾患が一番多かったのですが、2016年では認知症が第1位となりました。
今後もこの傾向は続くだろうと思われます。
●介護でかかる費用はどのくらい?
これは平成27年の実態調査の結果ですが、在宅介護の場合でも、住宅の改造やベッドの購入等で一時的にかかった費用は約80万円+介護保険サービス事故負担分や消耗品購入等で月々かかる費用が平均5万円で平均介護期間は59.1ヶ月で合計すると約376万円となります。
自宅介護でこの金額ですので、高齢者ホーム等利用した場合にはもっとかかることが想定されます。
また、施設を利用する場合、介護保険サービスを利用できる施設がどうか確認が必要です。
●相続や家の問題
人生100年時代といいましたが、必ずしも健康で100年過ごせるわけではありませんよね。
前のところで介護が必要となる原因の第1位は認知症という話をしました。
自分だけでなく家族が困らないように、認知症になる前に相続のこと自宅のことを解決しておく必要も出てきます。
もし、重度の認知症になってしまったら、もう自分の意向を伝えることもできません。 自宅等、自分名義のものがあれば、これをどうしたいか決めておくことができれば、家族も困りません。
また、事業継承をおこなわなければならない場合、決めずに意思疏通を図ることができなくなったらさらに大変です。
遺言書は亡くなった後の財産分与等について残しておくものですが、生きている内に自分が判断能力があるうちに、前もって内容や援助してくれる人(後見人等)を決めておく制度があります。
これが 任意後見制度です。今後この制度を活用する必要がある人が増えるものと思われます。
また、今もうすでに重度の認知症になってしまい家族が困っているというケースも多いのではないのでしょうか。
まだ認知症になっていない時点で手を打たなければこのようなケースが今後も多くなっていくでしょう。
私が聞いたケースでこんなケースがありました。
娘さんからの相談で、家が父親名義で、父親が一人で住んでいたのですが認知症になり高齢者施設に入りました。
重度の認知症で意思疏通を図ることができません。
家は一軒家でもう誰も住む予定もなく、空き家になってしまいました。
空き家の管理は娘さんがするということで市には届けは出していますが、娘さんの家からも少し遠く、行かなければ敷地内に草も生えてきて、木の枝も延びてくるし、家を処分したくてもできなくて困っているということでした。
そこで、成年後見制度を利用されたらどうかとおすすめしました。
制度自体は聞いたことがあるけど、よく分からず専門家に頼んだりしなければならず、高額なのではないかと思っていらっしゃるようでした。
きっとそういう方が多いのではないでしょうか。
家族が成年後見開始を申し立てることができますし、家庭裁判所が後見人等を決定しますが、行政書士や弁護士等の専門家でなくても親族が後見人になることもできます。
専門家に依頼すれば、報酬など別途料金がかかります。
「自分で申し立て、親族である自分が後見人になれれば、自分で父親の財産管理ができるようになります。そうすれば、家の売却等も家庭裁判所の許可は必要になりますが、必要があればできるようになりますよ。」とお伝えしました。
そうしたら、一度やってみますとのことでした。
戸籍謄本等提出しなければならない書類はありますが、手続きの費用は印紙代数千円程度と医師の鑑定費用が5万円程度(鑑定が省略される場合も多い)となります。
申し立てから約2~4ヶ月の審査期間を経て、家庭裁判所が後見人等を選任して後見開始となり、家庭裁判所が監督します。
現在、お困りの方はこの後見制度を利用されることをおすすめします。
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